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ハーネスエンジニアリング入門

AIエージェントを安全に働かせる6つの部品(指示書・スキル・権限・関所・記憶・点検)と、事故から生まれたルール

更新日:2026-09-30(2026年9月時点の情報)|HUMAC 伊藤晴通

ハーネスとは「馬具」のこと

AIエージェントは力の強い馬。放っておくと、頼んでいない相手にメールを送ったり、消してはいけないファイルを消したりする。手綱と装具(ハーネス)を付けて、決めた道を安全に走らせる仕組みづくりが「ハーネスエンジニアリング」。AIを賢くするより、AIが間違えても事故にならない形を作ることが仕事の中心になる。

ハーネスの6つの部品

部品たとえ中身Claude での実体
① 指示書新人に渡す「職場のルールブック」この仕事の目的、置き場所、やってはいけないこと、言葉づかいプロジェクトごとの CLAUDE.md
② スキル業務ごとの手順書「この仕事はこの順で、この資料を見て、この形で仕上げる」スキル(合言葉で呼び出す)
③ 権限渡す鍵の範囲読んでよい場所・書いてよい場所・使ってよい道具許可設定(ファイル・コマンド・外部サービスごと)
④ 関所(承認)判子が要る書類送信・公開・削除・支払いの前は、必ず人が確認する承認の確認画面、フック(自動チェック)
⑤ 記憶引き継ぎノート前回の失敗・決まったこと・好みを次回に持ち越すメモリ、決定ログ、STATUS
⑥ 点検定期監査ルールと実態がずれていないか、定期的に確かめる週次の自動点検(定期実行)

事故から生まれたルール(講師の実例)

ハーネスは机上で考えるより、小さな事故を1つずつルールに変えていくと強くなる。

起きたことルールにしたこと部品
AIを使うための鍵(APIキー)が公開の場所に出て、約6万8千円の不正請求鍵はコードにもチャットにも書かない。鍵は専用の金庫に集め、プログラムは金庫から読む①③
AIが「不要」と判断した経理書類を消してしまったAIの判断で消さない。疑わしいものは「退避フォルダ」へ移し、最後は人が消す③④
クライアントのブログを、確認前に公開しかけた公開ボタンはクライアント本人が押す。AIは下書きまで④
AIが古い知識で製品名を「訂正」して間違えた製品名・料金は、直す前に必ずWebで確認する①⑤
同じ説明を何度もさせられた一度決めたことは記憶に残し、蒸し返さない⑤

作り方の手順

仕事を1つ選ぶ毎回同じ手順で、失敗しても取り返しがつくもの
指示書を書く目的・置き場所・禁止事項を1枚に。長くしない
関所を決める「外に出る操作」と「消す操作」は必ず人が押す
スキルにする手順を言葉にし、合言葉で呼べるようにする
点検を回す週1回、ルールと実態のずれを確かめ、事故はルールに変える
任せるほど、関所が大事になる

AIエージェントが自分で動くようになるほど、「権限のはみ出し」が起きやすくなる。便利さと事故は同じ入口から来る。最初に決めるのは「何をさせるか」ではなく「どこで止めるか」。

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