「質問に答える辞書」ではなく、目的を伝えると、自分で手順を考え、調べ、資料を読み、書類を作り、結果を報告してくる「任せられる部下」。人の役割は「作業する人」から「任せて、確認し、承認する人」に変わる。
Claude の2つのエージェント
Claude(旧 Claude Cowork)
事務職・非エンジニア向け画面で操作
Claudeのデスクトップアプリの中で使う。黒い画面(ターミナル)は不要。フォルダを指定して「この資料を整理して報告書にして」と頼むだけ。2026年9月時点で、Web・スマホからも使える。
Claude Code(クロード・コード)
本格派AIエージェントの先頭
もともとはプログラマー向け。ファイル操作・手順の実行・外部ツール連携まで何でもできる。業務手順を「スキル」として覚えさせる考え方を広めた。
以前は「チャット」と「Cowork(作業用)」を使い分ける必要があったが、統合後はClaudeが依頼の大きさを見て自動で判断する。スキル・コネクター・定期実行・ファイル操作は、ふつうの会話の中で使える。Pro・Maxプランから数週間かけて順次、Team・Freeは後日。あわせて Claude Docs・Claude Slides(ベータ)も登場。
どちらもClaudeの有料版(Pro 以上)で使える。まずは Claude の会話でスキルを作り、物足りなくなったら Claude Code へ進むのが近道。
2026年秋の新しい動き:エージェントが「常時稼働」になった
2026年9月末〜10月、3社がそろって「PCを閉じても、クラウドで働き続けるエージェント」を出した。質問したら答えるAIから、こちらが寝ている間も仕事を進めるAIへ。
| 会社 | 名前 | 中身 | 使えるプラン(2026年10月時点) | 確認 |
|---|---|---|---|---|
| OpenAI | dots(ドッツ) | 自分専用のクラウドPCとブラウザを持ち、ChatGPT・Slack・Teams・電話で話しかけられる。メールやGoogleドライブなどとつないで、会話の合間も作業を進める。判断が要るときだけ連絡してくる。2026年9月29日発表 | ChatGPT Pro(100・200・500ドル)、Business Premium、Enterprise(管理者が有効化)。無料・Go・Plusは対象外。段階的に提供中 | 公式で確認 |
| Gemini Spark(スパーク) | Gmail・カレンダー・ドキュメントを見ながら、クラウドで動き続ける個人向けエージェント。Windows版Geminiからも作業を任せられる | Google AI Ultra向けと報じられている | 公式は言及のみ、詳細は報道 | |
| Anthropic | Claude(旧Cowork) | 10月6日から、ProとMax(Team・Enterpriseも)の新しいタスクは、すべてクラウドで実行。設定の「自分のコンピュータのみ」は廃止。すでに始めたタスクは、そのまま | Pro・Max・Team・Enterprise | 公式で確認 |
3社とも、安全のために「読むだけ・下書きまで」「人の許可が要る操作」を設けている。それでも、自分の知らないうちにエージェントが動くようになるため、何を任せ、どこで止めるかを自分で決めておくことが前よりも重要になる(→ E2 ハーネス)。
機能表:何ができて、仕事ではどう使えるか
| 機能 | ひとことで | 事務・総務・営業の仕事なら | Claude (旧Cowork) | Code |
|---|---|---|---|---|
| ファイルを読む・作る | 指定したフォルダの資料を読み、Word・Excel・PDFなどの成果物を作って保存する | 取引先から届いた見積書PDFを読み、比較表(Excel)と確認メール(Word)を作る | ○ | ○ |
| スキル | 業務手順書をAIに覚えさせる。「あれやって」の一言で同じ手順・同じ品質で仕上がる | 「月次の請求チェックをやって」で、不備の一覧・修正依頼文・集計表の3点が下書きで出る | ○ | ○ |
| スキルをAIと作る | 「この仕事をスキルにしたい」と話しかけると、手順書そのものをAIが書き起こす | ベテランのやり方を言葉にして残す(引き継ぎ・属人化の解消) | ○ | ○ |
| 定期実行 | 決まった時間に自動で動く。クラウドで動くので、PCを閉じていても実行される(2026年10月6日から、ProとMaxの新しいタスクはすべてクラウド実行) | 毎週月曜の朝に、先週の問い合わせの要約と未対応の一覧を下書きしておく | ○ | ○ |
| コネクター(外部ツール連携) | Gmail・カレンダー・Googleドライブ・Slackなどとつなぐ(MCPという共通規格) | メールの問い合わせを読んで返信の下書きを作る(送信は人が押す) | ○ | ○ |
| プラグイン | スキルや連携をまとめたセット。一度作れば職場で配れる | 「経理チェックセット」を全社員で共有 | ○ | ○ |
| 分身(サブエージェント) | 大きな仕事を、調べ係・まとめ係・チェック係に分けて並行して進める | 複数の取引先の見積を同時に比較する | △ | ○ |
| プログラム・アプリ作成 | 集計の仕組みや小さな業務アプリまで作れる | 案件台帳の集計表、社内向け検索ページ | △ | ○ |
| 人の承認(ガードレール) | 危ない操作の前に止まって確認を求める。任せる範囲を設定できる | 「送信ボタンは人が押す」を仕組みで守る | ○ | ○ |
自動化までの4段階(例:月次の請求チェック)
- 毎月の請求書業務:「請求書業務やって」の一言で、金額の照合から請求書作成・メール下書きまで。送信は自分で押す。
- 毎朝、予定とやるべきことのまとめが自動で届く。
- どちらも最初は「毎回AIに頼んでいたこと」。それを手順書にし、スキルにし、最後に自動化した。
各社の勢力図:Claude Code が先頭、OpenAI・Google が猛追
| 会社 | エージェント | 開発者の利用率(2026年5〜7月) | 状況 |
|---|---|---|---|
| Anthropic | Claude Code/Claude(旧Cowork) | 39%(米国47%) | 先頭。スキルの考え方を広めた |
| OpenAI | Codex(コーデックス) | 16% | 1月の3%から約5倍に急伸。週500万人以上が利用 |
| Antigravity(アンチグラビティ)ほか | 6% | 知名度は急上昇(47%)。Gemini Notebookとの連携も進む |
数字はプロの開発者1.5万人超への調査(JetBrains、2026年5〜7月)。事務職の利用率ではない。9月末にOpenAIの dots が出たので、次の調査では変わる可能性がある。
競争の軸は「どのAIが賢いか」から「どのAIエージェントが仕事を任せられるか」に移った。大事なのは「業務手順を言葉にしてAIに覚えさせる力」。これさえあれば、どの会社が伸びても乗り換えられる。
出典(2026年9月確認)
- Claude Cowork and chat are now one Claude(Anthropic, 2026年9月16日)
- Get started with Claude Cowork(Claude Help Center)
- Claude's scheduled tasks(XDA)
- Claude Code Guide 2026(MarkTechPost)
- AI Coding Agents: Adoption Trends(JetBrains, 2026年8月)
- Claude 料金プラン
- dots について(OpenAI公式ドキュメント)
- OpenAI launches Dots(9to5Google・2026年9月29日)(報道)
- The latest AI news we announced in September 2026(Google)
- Google launches Gemini Spark(TNW)(報道)