帝国データバンクの調査(2026年3月・約1万社)では、企業の34.5%が生成AIを業務で活用している(大企業46.5%、小さい企業でも28.0%)。支援を仕事にする専門家にも広がっていて、中小企業診断士は約7割が「仕事で使ったことがある」と答えた(2023年12月・124名の調査)。社労士は、全国の連合会が2024年に「生成AI活用ガイドブック」を公開している。
一方で、顧客の個人情報を扱う士業や支援機関は、守秘義務の観点から使い方に慎重になる事務所が多い、と指摘されている。だから差がつくのは「使うか使わないか」より、情報の扱いのルール(D1)を決めて、安全に使い始められるか。ルールのない組織は、動き出した会員に追い越される。
研修は「いつか」ではなく、いま始めるものになっている。
支援機関・各種団体の職員が、日々の業務にAIをどう使えるかの一覧(職員研修用)。「聞けば済む仕事」はGemini Notebookや普通のAI、「毎回同じ手順で書類を作って次に渡す仕事」はAIエージェント、という見分け方が基本。
業務別の活用例
| 業務 | AIでどう変わるか | 道具 | 段階の目安 | 信号 |
|---|---|---|---|---|
| 制度・補助金の資料の読み込み | 制度ごとのノートブックで「資料係」をつくり、根拠付きで回答。組織内で共有 | Gemini Notebook | ② | |
| 相談内容が制度の対象かの一次確認 | 相談内容を入れて、対象になりそうかを根拠のページ付きで確認。最終判断は職員 | Gemini Notebook | ② | |
| 制度の更新対応・会員への案内 | 新しい資料が出たら、変更点まとめ・早見表・案内文の3点を一言で下書き。定期実行も | Claude | ③→④ | |
| 市場・業界調査 | Deep Researchで下調べ → 公的データを足す → Gemini Notebookで裏取り | Deep Research+Gemini Notebook | ②→③ | |
| 経営計画づくりの壁打ち | 事業者の強み・課題を引き出す質問リストをAIと作る。計画書はあくまで事業者本人の言葉で | ChatGPT/Claude | ① | |
| 巡回・窓口相談の記録 | 面談メモや録音から記録の下書きを作る | Gemini Notebook/Claude | ②→③ | |
| 理事会・部会の議事録 | 録音から議事録と「次回までにやること」を作る | Gemini Notebook | ② | |
| セミナー告知文・会報・チラシ | たたき台を作り、職員が仕上げる。過去の会報をノートブックに入れると文体がそろう | ChatGPT/Gemini | ①→② | |
| 記帳・税務・労務のよくある質問 | 組織内のFAQをノートブックにし、新人でも同じ根拠で答えられるように | Gemini Notebook | ② | |
| 事業承継・創業相談のヒアリング準備 | 業種別の論点整理、質問リスト、公的データの下調べ | Deep Research/Claude | ① | |
| 決算書の分析 | 数字の推移や同業比較の整理 | 組織契約のAIで | ① |
段階:①相談相手 ②資料室(RAG)③スキル化 ④自動化。信号:公開情報中心 匿名化すれば可 組織契約とルール整備が前提(→ D1)
職員研修の最初の一歩におすすめの3つ
1. 制度資料のノートブック
無料で今日から。制度を1つ選び、公募要領・FAQ・様式を入れて組織内で共有する(→ B1b)。
2. 更新対応のスキル
有料版で。変更点・早見表・案内文を一言で下書きするスキルを作る。慣れたら定期実行へ(→ F1)。
3. 市場調査の型
Deep Research → 公的データ → 裏取り、の流れを1件やってみて、手順を組織内で共有する(→ B3)。
会員企業に勧めるなら
この資料集は、業種を問わず会員企業の経営者・社員がそのまま使えるように書いてある。職員が使ってみて「これは勧めたい」と思った資料を、そのまま渡せる。
何から始めるか
社員に使わせたい
自社の仕事に当てはめる
申請や経営の支援を仕事にする専門家にも、AIの活用が広がっている。競争ではなく、会員が期待する支援の水準が上がったということ。地域の事情を知る職員×AIの速さは、とても強い組み合わせになる。
出典(2026年10月確認)
- 生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)(帝国データバンク):調査期間2026年3月17〜31日、有効回答10,312社
- 生成AIを使いこなす中小企業診断士が急増(ハッシュタグ):2023年12月、124名。調査は小規模で、当時のAI環境(Bing AIなど)での結果
- 社会保険労務士向け生成AI活用ガイドブック(全国社会保険労務士会連合会・2024年公開)
- 士業のAI活用:守秘義務の条文と事務所の環境・ルール(コプラス)(二次情報)