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E1Claude Code

はじめてのAIエージェント:フォルダの置き場所・分け方・管理

先にここで、手を動かす。置き場所(クラウド同期は避ける)、顧客・アプリ・案件の分け方、AIに頼んで自分の事業に合わせる方法、指示書・現在地・決定ログ、完成の基準、会話の区切り方、戻せる仕組み、最初の30分

更新日:2026-10-03(2026年10月時点の情報)|HUMAC 伊藤晴通

対象ツール:Claude Codeこの資料は、Claude Code(Anthropic のAIエージェント。Claudeのデスクトップアプリの「Code」タブ)を前提に書いています。ほかのAIエージェント(OpenAI の Codex、Google のエージェントなど)は、画面・用語・ファイル名・設定が異なります。対象の方:開発者ではない方(経営者・事務・現場の担当者)。プログラミングは不要です。コードは書かず、AIエージェントに頼んで、自分の業務アプリをつくるところまでを、順に進めます(ターミナルの黒い画面は、使わない形で書いています)。
AIエージェントを使う前に、まず「場所」を決める

AIエージェントは、開いたフォルダの中を「自分の職場」として働く。資料があちこちに散らばっていると、AIも人も迷う。最初にやるのは、頼み方の工夫ではなく「場所づくり」。1つの仕事=1つのフォルダにして、その中に「指示書」「現在地」「決めたこと」を置くと、別の日・別の人・別のPCでも、同じ品質で続きができる。

E1とE2は、セットで使う:先にここ(E1)で、手を動かす

このページ(E1)は「置き場所と進め方(どこに・どうやって)」。先に、ここで、手を動かして、フォルダを作る。続けてE2 ハーネスエンジニアリング入門(考え方と6つの部品:なぜ・何を)を読むと、「なぜ、そうするのか」が、腑に落ちる。勉強会・サロンでは、E1(手を動かす)→ E2(考え方)の順に使う。

1. 先に知っておく、2つの制約

このページのルールは、すべて次の2つから来ている(Claude Code の公式ドキュメントと、Anthropic の技術解説による)。

① AIは、毎回「白紙」から始まる

新しく会話を始めるたびに、AIは前回のことを覚えていない。前回の続きを引き継ぐ唯一の方法は、ファイルに書いておくこと。だから「指示書」「現在地」「決定ログ」が要る。

② 作業机(文脈)は小さく、いっぱいになるほど鈍る

会話・読んだ資料・実行結果は、すべて「作業机」に載る。机がいっぱいになると、前の指示を忘れたり、間違いが増える(「context rot」と呼ばれる)。だから「整理して、小さく保つ」「話題ごとに区切る」ことが、最も大事な習慣になる。

2. どこに置くか:クラウド同期フォルダは、避ける

仕事のフォルダ(AIに開かせるフォルダ)は、パソコンの中(ローカル)に置く。Google ドライブ・iCloud Drive・OneDrive・Dropbox のようなクラウド同期のフォルダの中には、置かないのが、おすすめ。

置き場所作業フォルダひとこと
パソコンの中
Mac:~/Projects
Windows:C:\Users\名前\Projects
◎ホーム(ユーザー)フォルダの直下に、Projects を作る。「デスクトップ」「書類」の中には、作らない(下の注意)
Google ドライブ(Drive for desktop)×資料の保管・共有には、向いている
iCloud Drive×Macの「デスクトップと書類フォルダ」の同期がオンだと、デスクトップ・書類の中身が iCloud Drive に保存される(Apple 公式)
OneDrive×「フォルダーのバックアップ」をオンにしていると、デスクトップ・ドキュメントなどが、同期の対象になる(設定による)
Dropbox など×同じ理由

なぜ、避けるのか(5つの理由)

理由起きること
① Gitの管理ファイルが壊れる同期サービスが、同時に変わったファイルを、「main 2」のような番号つきの複製にしてしまい、fatal: bad object というエラーで、保存・送信ができなくなる報告がある(iCloud Drive での事例)。直すのは、難しい
② 小さなファイルが大量で、同期が止まるGitや、AIが作る一時ファイルは、数千個になる。OneDrive が応答しなくなった報告があり、OpenAI の Codex でも、「クラウド同期フォルダでの作業に、警告を出してほしい」という課題が記録されている
③ 「オンラインのみ」のファイルOneDrive の「オンラインのみ」のファイルは、開くたびにダウンロードされる(Microsoft 公式)。Google ドライブの「ストリーミング」も、ファイルは主にクラウドにあり、開いたときにダウンロードされる(Google 公式)。AIが、大量のファイルを読むと、遅くなる・失敗する
④ 鍵や実データが、自動でクラウドに上がる知らないうちに、クラウドにコピーされる(D1・E6)
⑤ 同時に書き換えて、衝突するAIが、多数のファイルを、短時間に書き換える。同期と衝突し、複製ファイルが増える

「必ず壊れる」わけではない。個人のメモ用途で、問題なく使っている人もいる。ただし、壊れたときに直すのは難しく、非開発者には、避けるのが安全。

最善の提案:3つの役割に分ける

① 作業場所=パソコンの中Projects(ホーム直下)。AIが開く・Gitがある場所
② バックアップ=Git → GitHub(非公開)仕事の履歴と、控え(E4)。加えて、パソコン全体のバックアップ
③ 受け渡し・共有・保管=クラウドストレージ完成した資料の共有、会社の資料室(Google 共有ドライブ。W2)
やりたいことやり方
クラウドにある資料を、AIに読ませたい必要なものを、ローカルの inputs/ にコピーしてから読ませる(コピーも、AIに頼める)
できた成果物を、お客様・社内に共有したい完成版を、クラウドの共有フォルダに、コピーする(仕事のフォルダは、そのまま、ローカルに置く)
複数のパソコンで、同じ仕事を続けたいクラウド同期ではなく、GitHubで同期する(保存して送る/取り込む。E4)
会社として、資料をAIの根拠にしたい共有ドライブを資料室にして、Gemini Notebook に入れる(W2)。ここは、同期ではなく、資料の置き場所
どうしても、クラウドの中で作業するなら(最低限の条件)
  • Git を使わない、資料中心のフォルダに限る(.git を、同期の中に置かない)。
  • Google ドライブは、「ストリーミング」ではなく、「ミラーリング」(ファイルを、常に、パソコンとクラウドの両方に持つ)にする。OneDrive は、そのフォルダを「常にこのデバイスに保持」にする。
  • AIに、大量のファイルを作らせない。鍵・実データを置かない。

自分のフォルダが、同期の中にないかを、AIに確認してもらう(コピーして使う):

いま選んでいるフォルダの場所(パス)を調べて、iCloud Drive・OneDrive・Google ドライブ・Dropbox などの「同期フォルダ」の中ではないか、確認してください。中だった場合は、ホーム(ユーザー)フォルダ直下の Projects への、移動の手順を提案してください。移動・削除は、私の承認を得てからにしてください。
講師の実例

作業フォルダ(Projects)は、パソコンの中に置き、iCloud の同期の対象外にしている。バックアップは、GitHub の非公開の金庫。お客様の書類の保管・共有は、Google ドライブ。「作業場所」と「保管・共有」を分けるのが、基本の考え方。

3. 何の単位で分けるか:顧客ごと? アプリごと? 案件ごと?

「1仕事=1フォルダ」の、「仕事」を、どう切るか。正解は、事業ごとに違う。ここでは、決めるための「基準」と「型」を示す。そのうえで、自分の事業に合わせて決める(AIと一緒に決める方法は、後半)。

切り方は、4つ

切り方向く仕事メリット注意
顧客ごと継続して関わる(顧問・保守・士業・コンサル)顧客共通のルール・用語・担当者・守秘を、1か所に書ける案件が混ざる。顧客の中を、案件で、さらに分ける
案件ごと期限と成果物がある(見積〜納品、申請、イベント)終わったら、まるごと退避(_archive)できる同じ顧客の案件が、散らばらないように、顧客の下にまとめる
アプリごとつくって、育てていく(社内アプリ、顧客向けアプリ)Git の単位=アプリ。履歴・共有・引き継ぎが、アプリごとにきれい顧客が複数のアプリを持つなら、顧客の下に、アプリを置く
業務ごと自社の仕事を良くする(月次の請求チェック、問い合わせ返信など)「F1 の棚卸し」の単位と、そろう部署が違うと、見せてよい範囲が違う。部門で束ねる

迷ったら:5つの質問(上から順に)

#質問答えの使い方
1AIに見せてよい範囲が、同じか?(守秘の境界。D1)最優先。別の顧客・別の部署・信号の色が違う情報は、同じフォルダに入れない(AIが取り違える・漏らす)
2AIに渡す、資料・ルール・言葉が、同じか?同じなら、同じフォルダ。違うなら、分ける
3引き継ぐ相手(担当者)が、同じか?担当が変わる単位で、切ると、引き継ぎが楽
4終わりがあるか?案件=あり(終わったら退避)。アプリ・業務=なし(育てる)
5契約・請求の単位は?顧客か案件の単位と、そろえると、あとで整理しやすい

指示書は、3層に重ねられる(親のフォルダの指示書も、効く)

Claude Code は、作業フォルダの CLAUDE.md だけでなく、その上のフォルダの CLAUDE.md も、連結して読む(公式)。これを使うと、「顧客共通のルール」を、1回だけ書ける。

📁 Projects 📁 clients … 顧客ごと 📁 tanaka-sekkei … 顧客A CLAUDE.md … ②顧客共通(守秘・用語・担当者・連絡の作法) 📁 2026-monthly-check … 案件・業務 ◀ AIを開くのは、ここ CLAUDE.md / STATUS.md / docs/ … ③この案件だけのルールと現在地 📁 2026-booking-app … 同じ顧客の、別の案件 📁 apps … 自社のアプリ(1アプリ=1フォルダ) 📁 work … 自社の業務(月次の請求チェックなど) (全体の指示書 ~/.claude/CLAUDE.md … ①全部の仕事に共通)

事業のタイプ別:型の例

事業のタイプおすすめの切り方フォルダの例
顧問・士業・コンサル(顧客に継続して関わる)顧客 → 案件。顧客共通の指示書+案件ごとの指示書clients/顧客略称/2026-案件名/
受託でアプリをつくる顧客 → アプリ。Git の単位は、アプリclients/顧客略称/アプリ名/
自社のアプリを育てるアプリごとapps/アプリ名/
店舗・製造・事務(自社の業務を良くする)業務ごと。部署で束ねるwork/経理/月次請求チェック/
セミナー・発信・学習テーマごと/開催ごとseminar/2026-10-17-主催名/

Git・GitHub との関係

名前の付け方

自分の事業に合わせて、決める手順

1 仕事を書き出す思いつく順に、10個。F1のステップ1
2 まとめる「同じ資料・同じルール・同じ相手」で、グループにする
3 線を引くAIに見せてよい範囲(守秘)が違うところで、必ず分ける
4 名前の規則を決める顧客・案件・アプリの付け方
5 3か月使って、見直すはじめから、完璧にしない。変えるのは、普通

AIに頼んで、決める(コピーして使う)

一般論ではなく、自分の事業の言葉で、AIに質問してもらいながら決める。

私の事業は、〔業種・人数・何をしているか〕です。 仕事の例:〔月次の請求チェック/顧客Aの保守/新しいアプリの開発 など、思いつく限り〕 AIに見せてはいけない情報:〔個人情報・決算書・他のお客様の情報 など〕 仕事用のフォルダの構成案を、3つ出してください。それぞれ、①フォルダの例(図)、②向く理由、③取り違え・情報漏れのリスク、④3か月後に困りそうなこと、を比べてください。 いきなり決めずに、先に私に質問してください(1回3問まで)。フォルダを作る前に、必ず、私の承認を得てください。

いまのフォルダが散らかっているとき(提案だけ。移動はしない)

〔いまのフォルダ〕の中身を調べて、仕事ごと・顧客ごとの整理案を出してください。ファイルの移動・削除・名前の変更は、しないでください(提案だけ)。案には、①新しいフォルダの構成、②どのファイルを、どこへ移すか(一覧)、③迷うもの(私に確認が必要なもの)、④消さずに退避するもの(_archive)を、入れてください。

顧客共通の指示書を作る

顧客〔略称〕のフォルダに置く、顧客共通の CLAUDE.md を作りたいです。いきなり書かずに、先に私に質問してください(守秘のルール、用語、担当者、連絡の作法、やってはいけないこと、使う資料の置き場所など)。聞き終えたら、200行以内で、箇条書きで書いてください。個別の案件の内容は、書かないでください。
見直しのサイン

AIが、別の案件・別のお客様の話を、持ち出す/同じ説明を、何度もしている/探しものが多い/1つのフォルダで、共有する相手が違う。→ 分け方を、見直すタイミング。フォルダの移動は、Git の履歴が切れるので、早めに。

4. 基本の構成:1仕事=1フォルダ

「仕事のフォルダ」は、1か所にまとめる(デスクトップや書類フォルダにばらまかない)。名前は半角の英小文字とハイフンにすると、扱いやすい。

最初はこれだけ(軽量版)

📁 Projects … 仕事のフォルダは、すべてここ 📁 monthly-invoice-check … 1つの仕事=1フォルダ CLAUDE.md … ①指示書(AIが最初に読む。薄く) STATUS.md … ⑤現在地(今どこまで・次にやること) 📁 docs 決定ログ.md … ⑤決めたことと理由 📁 inputs … 材料(請求書PDFなど。AIは読むだけ) 📁 outputs … AIが作ったもの(下書き・集計表) 📁 _archive … 退避(消さずに、ここへ移す)

慣れたら足す(フル版)

📁 monthly-invoice-check CLAUDE.md / STATUS.md RAID.md … ⑥気がかり帳(リスク・課題・前提・依存) 📁 docs 運用ルール.md … この仕事の真実源(詳しい決まり) 決定ログ.md / 用語集.md 📁 .claude 📁 skills … ②スキル(この仕事の手順書) settings.json … ③権限・④関所の設定 📁 data … 実データ(⚠ 共有・保存の対象から外す) .gitignore … 鍵(.env)・実データを、保存の対象から外す
AIは「開いたフォルダ」の中で働く

これは便利さであり、安全装置でもある。フォルダの外は、AIに触らせない(権限の範囲)。別の仕事の資料が同じフォルダにあると、AIがそちらを参照して取り違える。2つの仕事を、1つのフォルダで進めない。

5. 各ファイルの役割(E2の6部品との対応)

E2の部品置き場所役割書き方のコツ更新のタイミング
① 指示書CLAUDE.mdAIが毎回最初に読む。この仕事の目的、置き場所、禁止事項短く。目安は200行以内。「消してもAIが間違えない行」は消す(E2の4)同じ訂正を2度したとき
② スキル.claude/skills/この仕事の手順書。呼んだときだけ読まれる手順は指示書ではなく、スキルへ(F1の手順書)手順が固まったとき
③ 権限.claude/settings.json、フォルダの範囲、.gitignoreどこを読み、どこに書き、何を実行してよいか最初は確認あり。安全と分かった操作だけ許可リストへ新しい道具を使うとき
④ 関所承認の設定、outputs/、_archive/送信・公開・削除・支払いの前に、人が確認する「書き込み先は outputs だけ」「消さずに _archive へ」と決めておく外に出る操作を足すとき
⑤ 記憶STATUS.md、docs/決定ログ.md現在地と、決めたことの理由。次の会話に持ち越すSTATUS は「済んだこと/次の一手/待っていること」だけ。決定ログは、日付・決めたこと・理由・却下した案毎回の作業の最後
⑥ 点検RAID.md、週1回の点検ルールと実態のずれ、残っている課題を確かめるR(リスク)A(前提)I(課題)D(依存)で分け、閉じたら消す週1回

6. 最初の30分:手を動かして、フォルダを作る

勉強会・サロンでは、ここを実際にやる。まず、小さくて、失敗しても取り返しがつく仕事を1つ選ぶ(例:毎月の請求書チェック、問い合わせメールの下書き)。

1 フォルダを作るProjects の中に、仕事の名前(英小文字とハイフン)で。inputs・outputs・_archive も作る
2 AIに、質問させるいきなり指示書を書かない。AIに「聞き取って」もらい、答えながら作る
3 指示書と現在地を作るCLAUDE.md と STATUS.md を、AIに書かせる。人が読んで直す
4 関所を決める送信・公開・削除は、人が押す。書き込み先は outputs だけ
5 小さな仕事で試す1件だけ頼む。結果を人が確認し、直すところを指示書へ
6 保存して終えるSTATUS に今日の到達点を書き、変更を保存する(Gitの準備は E4)

手順2:AIに「聞き取って」もらう(コピーして使う)

この仕事(〔仕事の名前〕)の指示書(CLAUDE.md)を作りたい。いきなり書かずに、まず私に質問してください。 聞いてほしいこと:目的、出来上がりの形、使う資料と置き場所、やってはいけないこと、言葉づかい、迷ったときの判断。 1回に聞くのは3問まで。聞き終えたら、200行以内で、箇条書きで CLAUDE.md を書いてください。書いたら、足りないところを私に確認してください。

手順3:現在地ファイルを作る

STATUS.md を作ってください。見出しは「済んだこと」「次の一手」「待っていること」「決めたこと(日付つき)」の4つだけ。今日の作業を反映して、次に私が開いたときに、これだけ読めば続きができる状態にしてください。

終わるときの合言葉(毎回)

今日の作業を締めます。STATUS.md を更新し、決めたことと理由を docs/決定ログ.md に追記して、変更を保存してください。次回の最初にやることを、STATUS の先頭に書いてください。

「変更を保存してください」は、Git(E4)の準備ができていれば、そのまま動く。まだなら、この一文を除いて使う。

7. 仕事の進め方の型

公式ドキュメントと、長時間働くエージェントの設計(Anthropicの技術解説)に共通する、うまくいく進め方。

コマンドの名前は、覚えなくてよい

この資料は、Claudeのデスクトップアプリ(Codeタブ)の画面のボタンと、Claudeへの頼み方だけで進められるように書いてある。ターミナル(黒い画面)は開かなくてよい。コマンドは、慣れた人向けの「参考」として、小さく添えるだけにする。

① 先に調べて、計画してから、実行する

探索読むだけ。何も変更しない(プランモード)
計画何をどの順で行うか、案を出させる。人が直す
実行計画に沿って進める
確認・保存結果を確かめて、変更を保存する

いきなり実行させると、「間違った問題を解く」ことがある。ただし、1文で説明できるほど小さな変更(誤字の修正など)は、計画を飛ばしてよい。

② 「完成の基準」を先に渡す

AIは「できたように見えた」ところで止まる。確かめる方法が無いと、人が毎回、間違いを見つける係になる。次のように、確認の手段を一緒に渡す。

曖昧な頼み方完成の基準を付けた頼み方
請求書をチェックして請求書PDF 30件を読み、金額・税率・日付を表にして。取引先リストと一致しないものを一覧にして。最後に、件数の合計が合っているか確かめて、結果を見せて
メールを書いてお客様への見積案内メールを下書きして。条件:です・ます調、200字以内、金額は見積書の数字をそのまま写す。書いたあと、条件を1つずつ満たしているか確認して

③ 1度に1つ。終わったら確認して、保存する

長い仕事を一気に頼むと、AIは「全部できた」と早く宣言したり、途中で作業机がいっぱいになって中途半端に終わる、という失敗が起きやすい。Anthropicの設計では、次の工夫で防いでいる。

起きること対策
「全部できた」と早く宣言するやることの一覧(チェックリスト)を最初に作る。人が確認してから、チェックを付ける
確認が足りないのに、完了にする確認が終わったものだけ、完了にする
前の作業の続きが分からなくなる進捗のメモ(STATUS)と、変更の保存を、1つ終わるごとに残す
やり方が毎回変わる起動や実行の手順を、1か所(スキルやスクリプト)にまとめる

④ 会話は区切る:1つの仕事=1つのセッション

Claudeのデスクトップアプリでは、1つの会話を「セッション」と呼ぶ。左のサイドバーに一覧が並び、いつでも開き直せる。仕事が変わったら、新しいセッションにする(サイドバーの「+ 新しいセッション」。Macは Cmd+N、Windowsは Ctrl+N)。

状況やること
別の仕事の話に移る新しいセッションを始める。関係ない話が混ざると、精度が落ちる
同じことを2回直しても直らない新しいセッションで、学んだことを入れた、より具体的な頼み方で、やり直す。直し続けるより、早い
会話が長くなった・今日は終わりにする「終わりの合言葉」(6章)で、STATUS.md と決定ログに書いてもらう。次は、新しいセッションで、STATUS を読ませて始める
続きを別の日にやるサイドバーのセッション一覧から開き直す。または、新しいセッションで、STATUS.md を読ませる。セッションの名前は、上のタイトルをクリックして、分かりやすく付け直せる
調べものが大量になる調べる役を「別の担当(サブエージェント)」に任せるよう頼む。結果の要約だけが戻るので、作業机が汚れない
講師のやり方:「会話を整理する」より「ファイルに書いて、新しく始める」

講師自身は、会話の要約(/compact)や、会話の消去(/clear)のコマンドは、ほとんど使っていない。作業の最後に、「締めます」の一言で、STATUS・決定ログ・保存まで書き出し、次は新しいセッションで、続きから始める。覚えておくことは、会話の中ではなく、ファイルの中に置く。これなら、コマンドを覚えなくても、毎回、同じ品質で続けられる。

参考(慣れた人向け):会話を要約して縮める /compact、会話を消して新しく始める /clear、前の会話を選んで再開する --resume。ただし、要約すると、会話の中だけで伝えた指示は失われやすい。残したいことは、ファイルに書く。

⑤ いつでも戻せるようにする

⑥ 同じフォルダで、2つのセッションを同時に動かさない

同じファイルを、2つのセッションが同時に書き換えると、衝突する。並行して進めるなら、作業用のコピー(ワークツリー)か、別のフォルダに分ける。デスクトップアプリでは、新しいセッションを作るときに、ブランチ名の横の「worktree」を選ぶと、そのセッション専用の独立したコピーで動く(Gitが必要。→ E4)。初めは「1フォルダ・1セッション」で十分。

8. 安全な置き場所の設計(E2の「権限」「関所」とつなぐ)

置き場所AIの権限信号
inputs/読むだけ〜 公開情報/匿名化した資料
outputs/書いてよい(下書きまで)。送信・公開は人
_archive/移すだけ。消さない—
data/(実データ)必要なときだけ、人が許可。保存・共有の対象から外す 個人情報・決算書など(D1)
鍵・パスワードファイルに書かない。専用の金庫(Vault)に置く(→ E6)。AIに、鍵のファイルを読ませない設定も入れる

9. 名前と整理のルール

10. フォルダを「育てる」:週1回の点検

最初から完璧なフォルダは作れない。失敗を1つずつ、ファイルに書き足して育てる。

こんなときやること
同じ間違いを、2度された指示書に1行足す(具体的に、守れたか確かめられる形で)
同じ説明を、また入力した指示書か決定ログに書く
指示書が長くなってきた手順はスキルへ、一部の場所だけのルールは近くのファイルへ(E2の4-5)
AIが、指示を守らなくなった指示書が長すぎて埋もれていないか、指示が食い違っていないかを見る。1行だけ強調してもよい
(週1回の点検用) このフォルダを点検してください。①CLAUDE.md が200行以内か、古い指示・食い違いがないか ②STATUS.md が最新か ③RAID.md の閉じられる項目 ④_archive に移したほうがよいファイル ⑤鍵や実データが、保存の対象に入っていないか。結果を表で報告してください。直す前に、私の確認を取ってください。

11. よくある失敗と、直し方

何でも1つの会話でやる

別の話が混ざり、作業机が散らかる。話題ごとに会話を新しくする。

直し続ける

2回直して直らなければ、新しい会話で、具体的な頼み方からやり直す。

指示書が長すぎる

半分は読まれない。「消しても間違えない行」は消す。手順はスキルへ。

確認の手段が無い

「もっともらしい」結果をそのまま使ってしまう。完成の基準と、結果の証拠を求める。

範囲を決めずに調べさせる

大量の資料を読み、作業机がいっぱいになる。範囲を絞るか、別の担当に任せる。

混ぜる

2つの仕事を1つのフォルダで進めると、別の資料を参照して取り違える。1仕事1フォルダ。

鍵を書いてしまう

共有やバックアップで漏れる。鍵は金庫に置き、保存の対象から外す。

「最新版」だらけ

日付と版を名前に入れる。古い版は _archive へ。

12. はじめての日のチェックリスト

☐確認すること
☐仕事を1つ選んだ(小さく、失敗しても取り返しがつく)
☐1仕事=1フォルダを作り、inputs・outputs・_archive を用意した
☐AIに質問させて、CLAUDE.md を作り、200行以内で、人が読み直した
☐STATUS.md を作った(済んだこと/次の一手/待っていること)
☐送信・公開・削除は人が押す、と決めた(書き込み先は outputs だけ)
☐鍵や実データを、フォルダに置かない、または保存の対象から外した
☐1件だけ試して、完成の基準で確かめた
☐変更履歴(Git)の準備ができた(→ E4)。まだなら、次回までの宿題にする
☐終わるときに、STATUS を更新し、変更を保存した
☐次回の最初にやることを、STATUS の先頭に書いた
勉強会・サロンでの使い方(E1とE2をセットで)
  1. E1(60分):まず、置き場所(2章)と、分け方(3章)を、自分の事業で決める。そして、6章の「最初の30分」を、全員で実際にやる。各自の仕事を1つ選び、フォルダ・指示書・STATUS を作り、1件だけ試す。
  2. E2(30分):手を動かしたあとで、「なぜ、そうするのか」。ハーネスとは何か、6つの部品、mdファイルの役割と行数の限界、事故から生まれたルール。
  3. E4(事前または当日に別枠で):Git と GitHub の導入と設定(①②を実際にやる)。ターミナルは使わない。
  4. 宿題:1週間、終わりの合言葉で STATUS を更新する。翌回に、「2度された間違い」を指示書に足した例を持ち寄る。

関連資料

出典(2026年10月確認)